子馬のロドコッカス感染症をエリスロマイシンとリファンピシンで治療している時には、親馬が腸炎を起こすことがあることが報告されている。
クロストリジウム・ディフィシル Clostridium difficile という毒素を産生する嫌気性菌が関係しているのではないかと考えられているのだが・・・・・・
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Clostridium difficile associated with acute colitis in mares when their foals are treated with erythromycin and rifanpicin for Rhodococcus equi pneumonia
子馬のロドコッカス肺炎をエリスロマイシンとリファンピシンで治療しているときの繁殖雌馬の急性大腸炎にはClostridium difficileが関与している
Equine Vet J. 1998, 30(6): 482-488
スウェーデンでは、子馬を経口のエリスロマイシン・リファンピシンでロドコッカスの治療をしている時に、繁殖雌馬が急性の、しばしば致死的な、大腸炎を起こすことがある。
下痢をしている繁殖雌馬11頭のうち5頭(45%)で糞便検体からC.difficileかその毒素が分離された。
比べて、ロドコッカス感染で子馬を治療している健康な繁殖雌馬12頭と、健康で治療していない子馬の健康な繁殖雌馬56頭との糞便細菌叢には、C.difficileは検出されなかった。
他の消化管病原体は下痢をしているいずれの繁殖雌馬からも分離されなかった。
調査対象の治療子馬7頭のうち、4頭は糞便中のエリスロマイシン濃度が高かった(1651.0、1468.3、273.0、88.8μg/g)。
この4頭の子馬の母馬は急性大腸炎を発症し、一方、糞便のエリスロマイシン濃度が低かった(26.3、4.6、3.7μg/g)3頭の子馬の母馬は健康を維持した。
このことは、母馬にエリスマイシンが偶発的に摂取されたかもしれないことを示唆している。
抗生物質で治療されている子馬は、非徴候保菌者、あるいは貯留所となりうる。
C.difficileは調査された子馬16頭のうち7頭で分離され、一方、治療されていない子馬56頭では分離されなかった。
分離されたC.difficileの株はエリスロマイシン(MIC>256mg/l)とリファンピシン(MIC>32mg/l)の両方に耐性であった。
この事実は、子馬の腸管内でC.difficileが発育するのに好ましかったのかもしれない。
子馬と一緒に入院していたすべての繁殖雌馬がC.difficile陽性であったか、あるいは陽転したことは、C.difficileが院内感染したのかもしれないことを示唆している。
この結果から、エリスロマイシンとリファンピシンで子馬を治療しているときに繁殖雌馬に急性の大腸炎が起こったときには、C.difficileとその毒素を日常的に検査することを推奨する。
子馬を治療しているときには、繁殖雌馬が偶発的にエリスロマイシンを摂取しないようにすることが必要である。
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この論文ではリファンピシンではなく、エリスロマイシンを腸炎の原因として疑っている。
子馬へ投与した抗生物質がどうして母馬に腸炎を起こすのかはわかっていない。
母馬が子馬の便を食べるか、
子馬の便で汚れた敷料を食べるか、
子馬が抗生物質が付いた口を水桶でゆすいで、その水を母馬が飲んでしまうのか・・・・
いずれにしても、同じ馬房で飼っていると防ぐのは難しそうだ。
Rhodococcus感染症の治療はどうせ長期間かかるので、なんなら離乳してしまった方が良いかも知れない。
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日高では、子馬をリファンピシンとクラリスロマイシン(エリスロマイシンと同じマクロライド系抗生物質)で治療していた繁殖雌馬が腸炎を起こすのは聞いたことがなかったが、
この8月、2頭の繁殖雌馬が大腸炎で死亡して運ばれてきた。
いずれも子馬をリファンピシンとクラリスロマイシンで治療していた母馬だった。
うち1頭はC.difficileとその毒素を精査してもらったが陰性だった。
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OCD離断性骨軟骨症のリポートなどでも有名なスウェーデンのUppsala ウプサラは国立獣医研究所からの報告。
海外研修先でそこからの女性獣医師と一緒になったことがある。
嫌な女だった(笑)。
それ以来、北欧美人は嫌い・・・・でもないか。
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